研究者向けPOD出版サービス「POD-ACADEMIC」をリリース

研究者向け本格POD出版サービス「POD-ACADEMIC」についてのご紹介です。

金風舎では、研究者向けPOD出版サービス「POD-ACADEMIC」を開始いたしました。このサービスは、個人・プロジェクトともに成果物が求められながらも、書籍刊行のハードルが年々上がっていく昨今の学術出版の状況を踏まえ、研究者のみなさまがより自由に研究成果を書籍の形にまとめることができるようしたいとの思いで開始いたしました。

PODという形式上、普通の出版とは異なる部分、そして得手不得手があります。しかし、用途がこのサービスの得意とする部分と合致したならば、研究成果をまとめる重要な選択肢の一つとなることと思います。

この記事では、POD-ACADEMICがどのようなサービスであるかを3つの記事に分けてご紹介します。

(1)POD出版:ふつうの出版と何がちがうのか

(2)POD-ACADEMICのサービス特長4点

(3)学術出版に持続可能な第三の選択肢を:POD-ACADEMICの利用案内

株式会社金風舎(本社:東京都新宿区、代表:香月 登)は、研究者向け本格POD出版サービス「POD-ACADEMIC」をリリースいたしました。本サービスは、個人・プロジェクトともに成果物が求められながらも、書籍刊行のハードルが年々上がっていく昨今の学術出版の状況を踏まえ、研究者のみなさまがより自由に研究成果を書籍の形にまとめることができる出版サービスです。

PODという形式上、普通の出版とは異なる部分、そして得手不得手があります。しかし、用途がこのサービスの得意とする部分と合致したならば、研究成果をまとめる重要な選択肢の一つとなることと思います。

POD出版:ふつうの出版と何がちがうのか

POD出版は、あらかじめ在庫を用意しておくのではなく、購入者からの注文に応じて印刷・製本を行い、1冊、1冊を、「需要に応じて(=on demand)」長く販売していくことが可能な出版形式です。

「見る」より「読む」ことがメインの書籍に対して、POD出版の仕組みを使用し、研究書・専門書に特化してプランニングする出版サービスがPOD-ACADEMICです。

POD-ACADEMICのサービス特長4点

  1. 費用と本体価格の考え方POD-ACADEMICの費用は「制作に関わる費用」と「流通に関わる費用」で、前者が大部分を占めます。ここでいう「制作に関わる費用」とは、具体的には本文デザイン、組版、校正と、編集などのことで、この点は通常の紙の書籍を作る場合と変わりません。異なるのは、「印刷・製本費」はサービス費用に含まれない点です。POD出版の場合、「印刷・製本費」は本体価格に反映されているため、制作費に含まれません。なお、デザインに関する費用は必ず頂戴しており、版下入稿は受け付けておりません。デザインや組版に関しては、グループ会社である書籍専門のデザイン・制作会社株式会社デジカルのデザイナーが担当します。グループ会社だからこそ可能な価格で、高品質で洗練された紙面になることをお約束いたします。
  2. 完全入稿と、執筆支援プランPOD-ACADEMICは、「著者側からの持ち込み」を前提とした出版サービスです。そのため原稿をご用意いただく必要があります。論集などの場合には、代表の方に原稿を取りまとめていただいて、揃った状態で弊社に入稿していただきます。企画内容がはっきりしていて、原稿のもととなる文章(例えば博論本体など)があれば、オプションで「執筆支援プラン」をお選びいただくこともできます。これは、脱稿前の原稿に対して、定期的にフィードバックを返したり、ご相談をお受けするプランで、金風舎編集が出版まで並走いたします。博士論文の書籍原稿化がなかなか進まない、悩んでしまって意見がほしい、といったときにオススメです。
  3. 世界中どこでも購入できるPOD-ACADEMICで刊行したものは、品切れの心配がないだけでなく、世界中のどこからでも購入することができます。国外に書籍を届けるためには、高額な輸送コストや、輸送時間、紛失のリスクなど、多くの問題が立ちはだかります。POD出版ではこれらの問題はほとんど気にすることなく、海外の読者に届けることができます。外国に読者が多いことが予想される分野では、大きなメリットになるでしょう。
  4. 国会図書館への献本で、喪失を防ぎます書籍は、モノであるがゆえに、上手く保存されれば、遥かな時間を超えて受け継がれていくことができるものです。本サービスで刊行した書籍は、万が一POD出版システムの持続性に問題が生じても大切な研究成果をまとめた書籍が決して喪われないよう、紙媒体の書籍として国会図書館に献本をいたします。

学術出版に持続可能な第三の選択肢を:POD-ACADEMICの利用案内

以上のサービスの特長を踏まえ、POD-ACADEMICの得意とする部分が大きなメリットとなる、以下のような出版物への利用をオススメしています。

  • 個人の研究成果物(ex.博士論文の書籍化、既刊論文のまとめ、こだわりのテーマでの書きおろし)
  • 大学の授業で使用する教科書・資料類
  • 論集(ex.プロジェクト成果物、シンポジウム等のまとめ、記念誌)

POD-ACADEMICは出版サービスですので、制作・編集においても、「(営業的に)売れる本」にすることは目指しません。商業性ではなく、著者が届けたいと思う読者にしっかり訴求することを最優先として、丁寧にご要望や用途をヒアリングし、デザイン・編集面でのご提案をいたします。

◼︎出版実績例

本サービスは研究者・大学教員向けとさせていただいておりますので、各種公費への対応は手厚く行います。

助成額の寡少で出版を諦めることのないよう、助成額に合わせ、かつ、ニーズを最大限満たせる最適な制作プランをご提案いたします。出版をご希望で、助成金や研究資金のある方は、まずは一度ご相談ください。

また研究費の執行に当たり、必要な書類があればすぐに用意いたします。また、出版助成等の申請がこれからで、あまり慣れていないという場合には、適宜フォローをしながら書類を準備させていただきます。

予算の執行時期や種類に合わせて、公費に限り先払い/後払いを選択可能です。各機関でかなり異なる部分ですので、柔軟に対応いたします。

現在、研究書を取り巻く状況は大変厳しく、研究書は高額本として出版されるか、そもそも出版できるかどうかなどといった状況で、出版のハードルが高くなる一方です。しかし、「売れる出版」と「価値ある出版」は違います。真摯に行われた研究や、長年向き合ってきた中でまとめたいと願うテーマの価値は、商業的な成功という評価軸とは、本来全く別の位相のものです。

これまでは、学術書の出版といえば、紙媒体での出版が中心となってきました。モノとしての格調は、今も、これからも変わらず紙出版の最大で最強の長所です。しかし、モノであるがゆえに、出版のハードルが上がってしまうことにもなっています。

一方で、近年は、電子媒体での刊行も増えてきました。パソコンやタブレットなどのツールを用いて読むことができる電子書籍は、増え続ける書棚への革命的な解決策でした。しかし、デバイスの移り変わりの激しさを見ると、十年先さえ読めるかどうか。一データである以上、永続性が極めて危ういことは否定できません。

私たち金風舎が提示するのは、紙出版、電子出版に次ぐ、第三の選択肢です。それは、永続性は担保しつつ、何処でも買える気軽さと、品切れにならないようにする持続性を提供する選択肢。上がりすぎてしまったハードルを適切な位置まで下げ、価値ある出版を続けていけるようにする選択肢。

POD-ACADEMICは、現在の学術出版を取り巻く状況における、第三の選択肢になりうると私どもは考えます。特長、メリットデメリットをしっかりと理解していただければ、画期的な選択肢になるでしょう。

本来の価値の元に、適切に出版されていく。それが私たちの求める未来です。