- ノンフィクション
書籍名:放射線リスクコミュニケーション:福島での経験
Outline書籍の概要
東京電力福島第一原発事故直後から、著者は福島県放射線健康リスク管理アドバイザーの一人としてクライシスコミュニケーションとリスクコミュニケーションを行い、福島県内各市町村の住民へ「放射線被ばくと健康影響」について説明し、質問に答えた。震災当時、特に初期のクライシスコミュニケーションの経験を記した。
震災・原発事故後、3月18日に福島市の福島県立医大での講演会を皮切りに、連日続いた講演会での状況、放射線の影響を心配する住民の質問に丁寧に答える著者の感想などを詳しく紹介している。住民が本当に知りたい情報を提供するため、
①放射能と放射線について(ベクレルとシーベルトの違いについて)
②半減期について
③放射性感受性について
④内部被ばくと外部被ばくについて
⑤1ミリシーベルト、100ミリシーベルトの意味について
以上の内容を講演会で順番に説明した。
誰も体験したことのない混乱の中で行われたクライシスコミュニケーションを通して、著者は国内外で人材育成の責務があると考える。一番大切なことは住民と正面から向き合う、ということ。住民の質問をすべて受け止め、決して逃げないこと。その心構えを持つためには住民の質問を受けきるだけの知識が必要であり、そのうえで住民とどのように向き合うか。それらを含めた人材育成の必要性を説いている。
はじめにより
“本稿は、二〇一七年に福島民報から出版された「福島はあなた自身」の中に私が書いた文章「クライシスコミュニケーション~リスクコミュニケーションの経験から」を抜粋して英訳したものです。「福島はあなた自身」の出版以前から、特に海外の専門家から「福島でのクライシスコミュニケーションの経験をまとめてほしい」という要望をいただいていました。本文中にも書きましたが、私たちが事故直後に行ったクライシスコミュニケーション(危機管理対応)は、原子力災害後、世界で初めて行われたものの一つではなかったかと思います。あってはならないことですが、今後万が一原子力災害が世界のどこかで起こった時、八年前の私たちの経験が少しでも役に立てばと考え、今回英訳版を作成した次第です。”
誰も経験したことがない「危機管理対応」放射線被爆専門医が福島県民と葛藤した原発事故後の7日間とは− PIONNIER ピオニエContents目次
◆はじめに
◆クライシスコミュニケーション〜リスクコミュニケーションの経験から
◆リスクコミュニケーションから川内村復興推進拠点の設置へ