書籍名:猟師の妄想。―みんなが狩猟に関わる世界

猟師の妄想。―みんなが狩猟に関わる世界

著者:中村麻矢

定価:500円(税込)

Outline書籍の概要


“「今日は鹿の捌き方を教わりに行こうよ」と料理教室に通う感覚で鹿を捌きにいく社会人。「しょうがないな、また解体?手伝うよー」と家の手伝いで鹿の血抜きをする子供。おじいさんが獲ってきた鹿の皮を鞣(なめ)すおばあちゃん。お父さんの狩猟についていく猟師になりたい高校生。老若男女が日常的に狩猟と関わることって、日本だったら縄文時代くらいでは珍しくなかったのかもしれないけど、現代ではその光景をあまり見かけなくなりました。” ー本文より引用

冒頭で著者が語るのは、「狩猟をもっと身近な存在にしたい」という提案だ。実際に「鹿の精肉体験」を行って、老若男女様々な世代に対して狩猟への接点をつくっている彼女からすれば、これは妄想というより「実現中の計画」という感じかもしれない。

想像してみてほしい。 学校の時間割に「狩猟」の2文字が並んでいるところを。 工場への社会科見学みたいなノリで、近くの山里に「狩猟」に行く子供たちを。

別に鹿や猪を狩らなくても、山草を採って夕飯の味噌汁に入れてもらったり、めずらしい草花を見つけて写真を撮ったりするだけでも立派な「狩猟」だ。体力もつくし、自然に触れることでのびのびとした感性が育つ。 なにより、狩猟を通じてできる人と人との交流は新しい文化となりうる、と著者は言う。

たとえば、狩猟には動物を「狩る」という仕事だけでなく狩った獲物を解体する仕事や、その皮を「鞣(なめ)す」仕事や、それを加工する仕事など、多種多様な周辺領域が存在する。 自分の特性に合った仕事や関わりかたを通じて、狩猟という文化そのものを形成していく面白さは、きっとその中に飛び込んでみた人にしかわからないだろう。 その意味でも、狩猟を教育シーンにという彼女の提案は、未来の日本にとってとても重要な意味合いを含んでいると感じる。


次世代の教科書」編集部/妄想講義シリーズ 第17巻

「面白くて役に立つ本を次世代へ」をコンセプトに、まだ世の中であまり知られていないけれど、面白くて重要な気づきを与えてくれる内容に光を当てる「次世代の教科書」編集部の新シリーズ。
今回は「妄想」をテーマに、明るい未来を作るための「考える力」を習慣にする講義シリーズです。「賃労働」「不妊治療」「SNS時代のコミュニケーション」「エアコンのない生活」など、テーマは多様で今もっとも新鮮でリアルな価値観やテーマを学ぶことができます。多様な執筆人が「妄想」を語り、読者に新しい未来の可能性を与えます。


オムニバス単行本

正解がない時代を楽しく生きるために、「考える力」を習慣にできる! 24人の[次世代の]識者が明るい未来の描き方と作り方を語る講義集。
[次世代の]識者、24人の文章がまとめて読める『妄想講義 明るい未来の作り方と描き方』単行本は大好評発売中です。


ご購入はこちら


単行本電子書籍版

電子書籍版は金風舎DCH限定発売です。
金風舎DCHの電子書籍には専用アプリのダウンロードは不要です。また音声読み上げ機能に対応しています。
詳細は以下をご確認ください。

著者プロフィール

中村麻矢(なかむら・まや)

1992年、宮城県生まれ。大学卒業後、グルメを扱うウェブメディアで、営業・編集として7年間働く。2017年狩猟免許取得。2020年、猟師に転身。2022年春から北海道広尾町に移住し、現在は害獣駆除員に。地域の商品開発やブランディングを担うフリーのディレクターとしても活動する。