- エッセイ
- ノンフィクション
書籍名:エアコンのない生活に戻るには?
Outline書籍の概要
著者のシヨウタは、空き家を買い改修する、いわゆる「廃屋再生」を生業とする合同会社廃屋ではたらく大工であり、デザイナーだ。
便利すぎる生活、大量消費社会への違和感という著者の素朴な疑問から始まるこの文章は、最終的に「お腹が弱いのでエアコンが嫌い。だからエアコンのない家をつくってみよう」というとてもシンプルで、かつチャレンジングな試みへとつながっていく。
だがこの思いつきは単なる思いつきに留まらず、現代の家づくりへの批判にまで展開するのだ。
「私は現代の“エコハウス”の定義に疑問を感じる。これは少ないエネルギーで快適な空間に出来るためであり、エアコンを使う前提で考えられている。 そして家が役割を終えて解体される時、エコハウスに使われた素材のほとんどがゴミとして処理される。呼吸する家はほとんどが再利用できるのに。住むときは省エネでエコかもしれないが、その素材自体はエコじゃなくてもいいのか。私はそこが引っかかってしまう。」(本文より)
家づくりや、自然の循環に対する著者の真摯な思いが、現代的な生活に慣れきって「おかしいものをおかしいと言えなくなっている」私たちの脳にぐさりと刺さる。
さらに著者は、土着の気候や風土を活用するヴァナキュラーという考え方に基づく「ネオ・ヴァナキュラー」な建築方法や、便利すぎるものに疑念を持つ「プリミティブ思考」など、私たちの幸福を問い直す新概念を次々と生み出していく。
エアコン嫌いの青年の叫びから始まった「妄想」は、実際のモノづくりを経て様々な未来の可能性に変化していくのだ。
まるで、人生を通じて自由研究を続けている少年のような、好奇心と探究心のエネルギーが著者の文章を通じて伝わってくる。 真っ直ぐな願望だからこそ、心の深い部分まで一直線に刺さってくるのだ。
これは「本当に幸福な暮らし方」を探る最初の一歩だ。
「次世代の教科書」編集部/妄想講義シリーズ 第7巻
「面白くて役に立つ本を次世代へ」をコンセプトに、まだ世の中であまり知られていないけれど、面白くて重要な気づきを与えてくれる内容に光を当てる「次世代の教科書」編集部の新シリーズ。
今回は「妄想」をテーマに、明るい未来を作るための「考える力」を習慣にする講義シリーズです。「賃労働」「不妊治療」「SNS時代のコミュニケーション」「エアコンのない生活」など、テーマは多様で今もっとも新鮮でリアルな価値観やテーマを学ぶことができます。多様な執筆人が「妄想」を語り、読者に新しい未来の可能性を与えます。
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